このレッスンでは、Emma の胴体、首、頭、手の重み付けを行い、さらにスキン処理の仕上げのテクニックをいくつか学びます。
レッスンの準備:
胴体の重み付けを行う:
次は、Emma の上半身の重み付けを調整していきます。ここまでのレッスンで手順は理解できたことと思います。まず問題の箇所を特定したら、その部分の頂点の重み付けを確認して、必要な調整を行います。
- まず、フレーム 120 から 180 の胴体のアニメーションを確認します。
大きな問題はありませんが、フレーム 149 付近で腹筋に不具合が生じていることに注目してください。
これは、次の図に示す 4 つの頂点が、骨盤よりも脊椎の最初のボーンの影響を強く受けすぎているためです。
- この問題を修正するには、まずフレーム 0 に移動して、対象の 4 つの頂点を選択します。
注:これらの頂点は、EmmaRigPelvis と EmmaRigSpine1 のボーンの影響のみを受けていなければなりません。他のボーンがこれらの頂点に影響している場合は、該当するボーンを 1 つずつ選択して重みを 0 に設定してください。
- EmmaRigPelvis または EmmaRigSpine1 を選択して、重みを 0.5 に設定します。
これで、フレーム 149 の不具合はかなり改善されるはずです。
- フレーム 0 に戻り、頭のボーン(EmmaRigHead)を選択して、その周囲の頂点の重み付けを確認します。
頭の動きが胸の頂点に影響してしまっていますが、これは簡単に修正できます。
- 胸の(キャラクタ側から見て)左側の前面と背面で影響を受けている頂点を選択し、重みを 0.0 に設定します。後でミラーリングするため、右側の頂点はそのままにしておいてかまいません。
鎖骨を修正する:
現時点では、鎖骨は正しく作用していません。この問題を修正するには、まず腕を区分化してから調整するという方法がベストです。
- 左上腕のボーン(EmmaRigLUpperArm)を選択し、続いて上腕の頂点を選択して、重みを 1.0 に設定します。
シャツのエッジ部分の頂点は選択しないように注意してください。
前腕には、実際の人間の上腕と同じように回転させることができるように、2 つのボーンが設定されています。Emma のボーンは人間の骨格のように横に並んでいるのではなく端と端がつながっていますが、どちらも最終的な結果は変わりません。
- 前腕の 2 つのボーンをそれぞれ選択して、各ボーンの周りの頂点の重みを 1.0 に設定します。続いて、手のメインのボーン(EmmaRigLPalm)を選択して、このボーンに対する手のすべての頂点の重みを 1.0 に設定します。
- 膝のときと同じ方法で、ひじの頂点を重み付けします。ここでは、上腕よりも前腕の方の比重を重くします。必要に応じて、完成版のシーン ファイルを参考にしてください。
ここで、鎖骨に戻ります。一番の問題はおそらく肩でしょう。腕のアニメーションでは、通常は主に上腕のボーンでスキンを制御しますが、腕を上げたときは鎖骨が作用しなければなりません。ただし、このモデルの鎖骨は正しく作用していないため、次の図ような不具合が生じてしまいます。
ヒント:こうした問題を解決するには、このチュートリアルのアニメーションのように、複数のポーズを作成するとよいでしょう。あるポーズでスキンの修正に行き詰ったら、別のポーズで重み付けを行います。そうすれば、たいていは解決策が見つかります。
- フレーム 210 に移動して、鎖骨(EmmaRigLCollarbone)を選択します。続いて、肩の周りの頂点と腕の最上部の頂点を選択し、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[1]ボタンをクリックします。
- 続いて、腕の重みを均等にして、エッジ ループ間の距離をほぼ均一にします。必要に応じて、上腕の一番上の頂点の一部を再び上腕のボーンに割り当ててください。場合によっては、上腕の下の方の頂点の一部を鎖骨に割り当てる必要があるかもしれません。調整が終わったら、フレーム
220 に移動してさらに上腕と肩を調整します。その後、フレーム 230 と 240 でも同様に調整を行います。
次の図は、4 つのアニメーション フレームで重み付けを行った結果を示しています。
ヒント:脇の下の重み付けは、上腕とは別に行う必要があります。たとえば、脇の下は脊椎の上の方のボーンと胸部のボーンの影響を受けますが、上腕はこれらのボーンの影響は受けません。
なお、このような重み付けを行う際は、コピー機能と貼り付け機能が役立ちます。ある頂点の最適なバランスが見つかったら、その頂点の設定をコピーして近くの頂点に貼り付けてから、さらに微調整すればよいのです。
頭と首の重み:
アニメーションの首が動く部分(フレーム 250 から 320)をスクラブすると、首のボーンが、解剖学的にあり得ない範囲(鎖骨など)の頂点にも過度な影響を及ぼしていることが分かります。
左側の胸の上部の頂点に対する鎖骨の影響は既に修正してあるため、この問題はキャラクタの右側に顕著に見られます。そこでまず、前に行った変更をミラーリングする必要があります。
- 髪のオブジェクトを選択して、作業の邪魔にならないように非表示にします。
- キャラクタがニュートラル ポーズをとっているフレーム(フレーム 265 など)に移動して、上腕、胸の上部、首の下部の頂点を選択します。
首の縦の中心線上の頂点は選択しないように注意してください。
- [ミラー パラメータ]ロールアウトで[ミラー モード]をオンにして、
([ミラーを貼り付け])をクリックします。
選択した頂点の設定が、メッシュの反対側にミラーリングされます。これで、首を曲げたときの歪みは軽減されました。ただし、まだ首の影響が大きすぎます。
- [ミラー モード]をオフにします。
- 首のボーンを選択し、続いてシャツ(前面と背面)と胸の上部の色付きで表示されている頂点を選択して、重みを 0.0 に設定します。
- 頭のボーンを選択し、このボーンが首の下部と胴体上部の頂点に影響しないようにします。
ヒント:最終的にはすべての設定を右側にミラーリングするため、ここでは時間を節約するためにキャラクタの左側の重みのみを調整します。
- 頭のボーンが選択されている状態で、頭と首の上部の頂点を選択して、重みを 1.0 に設定します。
次は、首のボーンに対する首の 3 つのループの重みが(上から下へ向かって)徐々に大きくなるように調整します。
首の重み付けを開始する:
- 首のボーンを選択し、続いて[ループ]ツールを使用して首の 3 つのループの一番上のループを選択します。このループの重みを 0.25 に設定します。
- 上から 2 番目のループを選択して、首のボーンに対する頂点の重みを 0.5 に設定します。すると、自動的に頭に対する重みも 0.5 に設定されます。
- 首の一番下のループ(首の付け根のループの 1 つの上のループ)を選択します。
このループは、脊椎の一番上のボーン(EmmaRigSpine3)の影響を過度に受けています。
- EmmaRigSpine3 を選択し、続いて首と胴体上部の頂点を選択して、重みを 0.0 に設定します。
- 再度、首の一番下のループ(首の付け根のループの 1 つの上のループ)を選択し、さらに頭のボーンを選択して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[.25]ボタンをクリックします。
これで、このループは、首と頭に対して 3:1 の割合で重み付けされました。
- 首の付け根のループを選択して、首のボーンに対する重みを 1 に設定します。
さらに首の重み付けを調整していきましょう。次は、首の側面の頂点に対する鎖骨の影響を調整します。
- 首の右側下部(真正面と背面以外)の頂点を手動で選択し、続いて EmmaRigLCollarbone を選択して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[.5]ボタンをクリックします。
- 首をひねる部分のアニメーションをスクラブし、動きが自然に見えることを確認します。
- 前の手順で調整した頂点を選択し、[ミラー モード]をオンにして、
([ミラーを貼り付け])をクリックします。
- [ミラー モード]をオフにします。
- 再度、アニメーションの首が動く部分をスクラブし、重み付けに問題がないこと(たとえば、鎖骨が動かないことなど)を確認します。問題が見つかった場合は、必要に応じて重みを調整してください。
首を仕上げる:
続いて、首の前面の縦の中心線上の頂点を、左右の鎖骨に対して均等に重み付けします。中心の頂点はミラーリングされないため、この作業は重要です。
- 調整は、首の付け根から上へ向かって順番に行います。まず、首の前面の中心線上にある最初の 3 つの頂点を選択します。
これらの頂点には現在、首のボーンに対して 100% の重みが設定されています。
- 左右どちらか一方の鎖骨を選択し、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[1]ボタンをクリックします。続いて、もう一方の鎖骨を選択して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[.5]ボタンをクリックします。
これで、これらの頂点は左右の鎖骨に対して 50% ずつ重み付けされました。
- 首のボーンを選択して、首の中心部の頂点の位置が正しくないフレーム(フレーム 260 など)に移動します。
- [ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで、[ウェイトを設定]ボタンの右側にある[+]ボタンを何度か(ただし、ゆっくり)クリックして、首の中心線が正しい位置に配置されるまで重みを徐々に増やします。
これらの頂点の首のボーンに対する重みを増やした分だけ、2 つの鎖骨に対する重みが自動的に減っていきます。
完成版のファイルを見ると分かるように、さらにもう少し微調整が必要です。最終的には、一番下の頂点の首のボーンに対する重みを 0.6、左右それぞれの鎖骨に対する重みを 0.2 に設定し、上の 2 つの頂点は、首のボーンに対する重みを 0.65、左右それぞれの鎖骨に対する重みを
0.175 に設定しました。
さらに、中心線上の頂点の左隣の 3 つの頂点も重みが大きすぎるため、調整が必要です。
- 前の手順で調整した 3 つの頂点の左隣(向かって右隣)の頂点を調整します。
ここでも微調整が必要です。最終的には次のように設定しました。
- 一番上の頂点: 頭に対する重みを 0.15、首に対する重みを 0.85
- 2 番目の頂点: 首に対する重みを 1.0
- 一番下の頂点: 首に対する重みを 0.65、左鎖骨に対する重みを 0.35
- これらの 3 つの頂点を、反対側にミラーリングします。
- キャラクタをオービットして背面を表示し、アニメーションをスクラブして、必要に応じて中心部の頂点を調整します。
たとえば、シャツの頂点は頭の影響を受けてはいけません。頭と首の動きに応じてシャツの背面の中心部の頂点も動いてしまう場合は、それらの頂点を胸の上端のボーンに割り当て直してください。同様に、シャツの上端の頂点に対する鎖骨の影響も小さくする必要があるかもしれません。
キャラクタのこの部分は、かなりの微調整が必要です。ここでは詳しくは説明しませんが、迷ったときは configuring_skin_finished.max を参考にしてください。
- 胴体上部の重み付けが完了したら、左側のすべての頂点を選択し、[ミラー モード]
ウェイトの貼り付けを使用して右側にミラーリングします。
-
作業を保存します。
次は、手首と手のスキン処理について学びます。
手をスキン処理する:
手のスキン処理は手首から開始して、その後、手の指を処理します。
- ビューを調整してキャラクタの左前腕と左手を表示し、アニメーションのフレーム 350 から 380 をスクラブします。
手首には現在、前腕の 2 番目のボーンに対して 100% の重みが設定されているため、曲げたときに関節が不自然に見えます。
- 手首の周りの頂点をループ状に選択して、隣接する前腕のボーンと手首のボーンに対する重みを、まずはそれぞれ 50% ずつに設定します。
- 再度、アニメーションを移動します。まだ関節が不自然に見える場合は、自然に見えるようになるまで、手首の頂点の重みをさらに調整します。この頂点ループについては、前腕に対する重みをおよそ 0.7 まで上げる必要があります。
ヒント:場合によっては、手の裏側の手首に近い部分の頂点にも前腕が若干影響するように、調整が必要になることもあります。ただし、このチュートリアルでは必要ありません。
指の重み付けを行う:
- 指が動いている箇所のアニメーション フレームをスクラブします。
現時点では、手の頂点はすべて手のひらのボーンに対して重み付けされているため、指のボーンだけが動きます。
- いずれかの指のすべての頂点を選択します。ここでは、人差し指を例に挙げて説明します。
- 指の最初のボーン(この例の場合は EmmaRigLIndex1)を選択します。このボーンに対する重みを 100% に設定します。
これで、指全体が最初のボーンと連動するようになりました。
- 最初の関節の上のループの頂点から指の先端の頂点までを選択し、2 番目のボーン(EmmaRigLIndex2)に対して重み付けします。
- 同じ手順を繰り返して、2 番目の関節の上から先端までの頂点を、最後のボーンに対して重み付けします。
これで、大まかな区分化が完了しました。次は、より細かいレベルの調整を行います。
- それぞれの関節の下の 6 つの頂点を選択して、その下にあるボーンに対して 100% で重み付けします。同じ手順を、各関節の上の 6 つの頂点に対しても繰り返します。
ヒント:これらの頂点は 1 つずつ選択すると作業しやすいでしょう。
続いて、関節の頂点の重み付けを行います。
- 指のそれぞれの関節の周りの 8 個の頂点を選択して、隣接する指のボーンに対して 50% で重み付けします。
これで、指の各関節部分で重みが均等にブレンドされます。
ヒント:必要に応じて、[ブレンド]ツールを使用して、それぞれの関節のエッジ ループに近接する頂点を重み付けすることもできます。
- 同様に、指の付け根の関節の頂点を手のひらに対して 50% で重み付けし、さらに指の付け根の関節のすぐ隣(指先に近い方)の頂点を手のひらに対して 25% で重み付けします。
これは、アニメーションや、頂点の位置によって違ってきます。この作業の目的は、指を曲げたときに面がつぶれて歪んでしまうのを防ぐことです。最終的には、次の図のようになるまで調整してください。
- 親指などの他の指も同様に調整して、その結果をメッシュの反対側にミラーリングします。
作業を保存する: