キャラクタの下半身の重み付け
 
 
 

このレッスンでは、リグのボーンに対する各頂点のウェイトの設定を調整してスキンを改良する方法と、その結果、リグのアニメーションがキャラクタ メッシュにどのように影響するかを学びます。まずは、キャラクタの下半身から調整します。最初は足です。

レッスンの準備:

スキンの調整を開始する:

注:この手順とこの後の手順では、主に[スキン]モディファイヤの基本的な仕組みについて説明します。まずは、ざっと目を通してください。この段階では、完全に理解できなくてもかまいません。チュートリアルを読み進めて実際にスキンの調整を行った後で、再度この手順の説明を読み返すと、さらに理解が増すはずです。
  1. タイム スライダをスクラブするかアニメーションを 再生して、問題の箇所を確認します。たとえば、フレーム 70 の付近で膝が細くなり、不自然に見えるはずです。また、フレーム 210 の辺りでは肩がひどく歪んでいます。
    重要:膝を曲げたときに細くなるといったボリュームが失われる問題は、たいていの場合はキャラクタのスキンを調整することで修正できます。その次によくあるのが、曲がった関節の周りのメッシュが相互に貫通してしまうという問題ですが、これは最終的なアニメーションではあまり目立たないことが多く、ある程度までは衣服のひだによるものだと思わせることができます。このチュートリアルでは、ボリュームの問題の修正を重点的に扱います。
  2. フレーム 0 に戻ります。
  3. ([オブジェクトを選択])がアクティブになっていることを確認します。Emma オブジェクトを選択し、[修正]パネルに切り替えます。[パラメータ]ロールアウトで、[エンベロープを編集]をクリックします。

    キャラクタ メッシュがグレーに変わり、骨盤の辺りだけが色のグラデーションで表示されます。このグラデーションは、骨盤に割り当てられているスキンの頂点の重み付けを表わしています。既定値では、[パラメータ]ロールアウトのボーン リストの最初のエントリは EmmaRigPelvis です。したがって、[エンベロープを編集]をオンにすると、まず EmmaRigPelvis の値が表示されます。

    「重み付け」という用語について簡単に説明しておきましょう。

    ヒント:[スキン]モディファイヤには、複数のロールアウトにわたって多数のパラメータが存在します。場合によっては、1 つの列に収まりきれないほど多くの設定を表示しなければならないこともあります。コマンド パネルを拡張するには、パネルの左端にマウス カーソルを合わせて、カーソルが横向きの両方向矢印に変わったら、2 列になるまで左へドラッグします。

    コマンド パネルの左端を左にドラッグして、複数の列に拡げます。

  4. リストで別のエントリをいくつかクリックして、スキン メッシュの他の部分の頂点の重み付けを確認します。あるいは、ビューポートでボーンをクリックしてもかまいません。ボーンは、両端に頂点(メッシュではない)のある直線として表示されています。ビューポートでボーンをクリックすると、そのボーンが[パラメータ]ロールアウトでハイライト表示されます。

    ボーンは、両端に頂点を持つ直線で表わされます。

    重要:ここで、[スキン]モディファイヤの基本的な仕組みを簡単に説明しておきましょう。スキンにボーンを追加すると、[スキン]モディファイヤが適用されているメッシュの各頂点が、ボーンとの近さに応じて 1 つまたは複数のボーンに自動的に割り当てられます。さらに、頂点に割り当てられている各ボーンの重み値が頂点とボーンとの近さに基づいて計算され、ボーンの動きが頂点にどの程度影響するかが決まります。頂点が 1 つのボーンに近接していて、その他のボーンからは相対的に離れている場合は、頂点はその近接しているボーンに重み値 1.0 (100%)で割り当てられます。つまり、頂点はそのボーンの動きにのみ反応し、そのボーンとまったく同じ方向に同じ距離だけ移動することになります。

    頂点が 2 つのボーンから等距離にあり、その他のボーンとは離れている場合は、その 2 つのボーンが頂点に割り当てられ、頂点に対するそれぞれのボーンの重み値は 0.5 (50%)になります。この場合は、2 つのボーンの動きが頂点の動きに均等に影響することになります。どちらか一方のボーンだけが動くと、頂点はその半分の距離だけ移動します。[スキン]モディファイヤでは、このようにして、膝や肩などの曲がった関節の周りのキャラクタ メッシュの動きが計算されます。

    ハイライト表示されているボーンの重み値は、既定値ではメッシュ上にグラデーションで表わされます。重み値が高い部分は赤く表示され、値が低くなるにつれて色がオレンジ、黄色、緑、青の順に変化していきます。また、頂点でも同じカラー スキームが使用されます。このチュートリアルでは頂点レベルで重みを調整するため、ビューポートを[スムーズ + ハイライト + エッジ面]表示モード(F4)またはワイヤフレーム モード(F3)に設定することをお勧めします。

    なお、[スキン]モディファイヤは、1 つまたは複数のボーンによってどの頂点が影響を受けるかを、各ボーンの周囲に「エンベロープ」を生成することで特定します。エンベロープは、カプセルの形をした 3D のボリュームです。このエンベロープをインタラクティブに編集して、頂点の重み付けを高度に調整することができます。ただし、個々の頂点(または複数の頂点のグループ)の重み値を調整した方が、より正確な制御が可能です。ゲームの開発スタジオのようなプロフェッショナルな環境では後者の方法がより一般的に用いられるため、このチュートリアルでもこの方法を重点的に扱います。少し手間はかかりますが、こちらの方が最良の結果を短時間で合理的に作成できます。

    いずれにしても、ミスには十分注意してください。キャラクタのスキン処理は非常に細かい作業で、多くの経験や試行錯誤が求められますが、苦労した分だけ良い結果が得られるはずです。このチュートリアルの目的は全体的なプロセスを学んでいただくことですが、すべての手順を 1 つ 1 つ詳しく説明することはしません。随所にヒントや例を挙げていますので、参考にしてください。

  5. ここまでの作業結果を別のファイル名(MyEmma3.max など)で保存します。

    その都度、手順として記載はしませんが、キャラクタのスキン処理のような複雑な作業を行う場合は、こまめに作業結果を保存するようにしてください。ファイル名を変えて保存しておくと、問題が発生したときに前の状態にすばやく戻すことができます。

[スキン]モディファイヤのオプションを確認する:

特定のボーンに対する頂点の重みは、重み値を変更することで編集できます。ただし、重み値は相対値のため、頂点の重みを編集するためには、頂点が複数のボーンに割り当てられている必要があります。たとえば、ある頂点のボーン A に対する重み値が 0.6、ボーン B に対する重み値が 0.4 だとします。この場合は、ボーン A の動きが頂点の動きに及ぼす影響は、ボーン B の 1.5 倍になります。各頂点の重み値の合計は常に 1.0 になります。したがって、この方法でキャラクタをスキン処理する場合は、頂点がどの(1 つまたは複数の)ボーンに割り当てられているかと、割り当てられているすべてのボーンに対する重み値を把握する必要があります。

注:キャラクタをスキン処理する場合は、このチュートリアルのように、個々のボディ パーツ単位で作業を行うことをお勧めします。1 つのパーツの作業が完了したら、必要に応じて作業内容を反対側のパーツにミラーリングします。具体的には、まずボーンを選択し、その周囲のほとんどの頂点の重み値が 1.0 に設定されていることを確認してから、曲がる部分の重みを調整します。これは重み付けの「区割り」をしていると考えることができます。つまり、キャラクタの動きを切り分けて作業することでアニメーションを区割りし、その後モーション全体を結合するということです。

たとえば、このチュートリアルではまず左脚から作業を開始しますが、足のボーンから順番に上へ作業を行った後、頂点の設定を右脚の対応するボーンにミラーリングします(コピーしてから反転させます)。どの箇所の重みも後でいつでも微調整可能ですが、まずは各領域ごとに集中して作業するのが最も効率的です。

  1. このチュートリアルではエンベロープを直接編集することはありませんが、エンベロープ機能を簡単に確認しておくと、[スキン]モディファイヤの重み付けの仕組みを理解しやすいでしょう。このシーンはエンベロープを表示しないように設定されていますが、[表示]ロールアウトの[エンベロープを表示しない]をオフにすることでエンベロープを表示できます。

    前腕のボーンを選択し、[エンベロープを表示しない]をオフにした状態。カプセルの形をした内側と外側のエンベロープがビューポートに表示されます。

    簡単に説明すると、各エンベロープはカプセルの形をした 2 つの同心の 3D ボリュームで構成されています。内側のエンベロープの中にある頂点は、そのボーンの影響を 100% 受けます。内側のエンベロープの外かつ外側のエンベロープの中にある頂点は、外側に行くほど重みが徐々に小さくなります。ボーンをいくつか選択してそれぞれのエンベロープを確認したら、[エンベロープを表示しない]を再度オンにしておきましょう。

    エンベロープを使用してスキンの頂点の重みを設定するのは、細かい調整が難しい高度な手法ですが、ボーンとメッシュのセットアップがきわめて単純な場合には時間の節約になります。

  2. このチュートリアルではエンベロープは使用しないため、[エンベロープを表示しない]をオンに戻します。
  3. ここで、[表示]ロールアウトの他のオプションも確認しておきましょう。

    [色付き面を表示]がオンになっています。この効果は先ほど見たとおりです(ビューポートで面が色分けされて表示されます)。

  4. [すべてのウェイトにカラー]をオンにすると、現在のボーンだけでなく、キャラクタ メッシュ上のすべての頂点の重み付けが表示されます。

    [すべてのウェイトにカラー]をオンにすると、選択したボーンだけでなく、メッシュ全体の重み付けが表示されます。

    このチュートリアルでは必要ないため、オフに戻します。

  5. [前面に描画] [エンベロープ]をオフにすると、メッシュ上にボーンが表示されなくります。そのため、このオプションはオンにしておきます。

    エンベロープの表示をオフにすると、ビューポートでボーンを選択できなくなります。

  6. 他のオプションについても自由に試してみてください。ただし、設定を変更したら必ず元の設定(次の図を参照)に戻しておいてください。

頂点の重みの調整を開始する:

  1. [パラメータ]ロールアウトに戻り、[選択] [頂点]をオンにします。

    このオプションは既定値ではオフになっていますが、頂点の重みを調整するためにはオンにする必要があります。このチュートリアルと同じ方法でスキン処理を行う場合は、必ず最初にこのオプションをオンにしてください。

    「ストレッチ動作」のアニメーションは足から始まり、それから体の上方へと続いていくため、スキンの調整も同じ順番で行います。

  2. ふくらはぎと足を ズーム拡大し、表示が[スムーズ + ハイライト + エッジ面]に設定されていることを確認します(次の図を参照)。

  3. アニメーションの最初のおよそ 50 フレーム分を前後にスクラブします。足の曲げが、ふくらはぎの下部にどのように影響するかを確認します。アニメーションが不自然に見えるのは、[スキン]モディファイヤによってこのボーンに自動的に割り当てられた既定値のエンベロープが少し大きすぎるためです。
  4. 足のボーンを EmmaRigLCalfEmmaRigLAnkleEmmaRigLToe の順に選択します。

    左から順に: ふくらはぎ、足首、足の指のボーンを選択した状態

    最後に EmmaRigLAnkle を選択します。色のグラデーション(オレンジ、黄色、青)を見ると、このボーンのほとんどの頂点の重みが 0.5 より小さいことが分かります。この状態は望ましくありません。

  5. メイン ツールバーの[選択領域]フライアウトから[ラッソ選択領域]ツールを選択します。

    隣接する複数の頂点を自在に領域選択するには、このツールが最適です。

  6. 次の図のように、足と足首の頂点の周りをドラッグして領域を描画します。

    [背面頂点の非表示]がオフになっているため、これで裏側にある頂点もほぼすべて選択されます。ただし、ビューの角度や領域をドラッグした場所によっては、頂点がいくつか選択されずに残ってしまうことがあります。モデルの周りを オービットして、足と足首の頂点がすべて選択されているかどうか入念にチェックしてください。必要に応じて、選択セットに頂点を追加したり、不要な頂点を選択セットから除外します。

    オービットを元に戻すには、Shift+Zを押します。

    ヒント:選択セットに頂点を追加するには、Ctrl を押しながら頂点を選択します。選択セットから頂点を除外するには、Alt を押しながら頂点を選択します。

  7. [パラメータ]ロールアウトの[ウェイト プロパティ]領域で、[絶対効果]を 1.0 に設定します。

    [絶対効果]では、重みを絶対値で設定します。

    重みの設定を変更したことで、ビューポートの足全体が赤に変わります。これで、これらの頂点は他のボーンの影響を受けなくなります。

    アニメーションをスクラブして、足のメッシュが足の指のアニメーションの影響を受けなくなったことを確認します。次に、これらを修正します。

  8. 足の指のボーン(EmmaRigLToe)を選択します。

    このボーンは重み付けされていないため、足がグレーになります。ただし、すねの部分は足の指の影響を受けないため、青く表示されます。

  9. 青い頂点の周りをドラッグして領域を描画し、[絶対効果]を 0.0 に設定します。

    これで、脚の残りの頂点が足の指のボーンの影響を受けなくなります。

    続いて、足の前面の頂点が再び足の指のボーンの影響を受けるようにします。

  10. 足の前面の周囲、つまり 3 番目の靴ひも(靴の表面にある突起)のすぐ上までをドラッグして領域を描画します。再度、モデルを オービットして、頂点が正しく選択されていることを確認します。選択を確認したら、Shift+Z を押してオービットを元に戻します。

    ヒント:正しく選択されているかどうかをすばやくチェックするには、 [(選択図形ズーム)]が便利です。たとえば、誤ってキャラクタの裏側の頂点を選択してしまった場合は、ビューが予想よりも幅広く表示されます。
  11. [絶対効果]を 1.0 に設定します。

    選択した頂点とその周りのメッシュが赤くなります。ここで再度アニメーションをスクラブすると、足の指のボーンの重み付けされている頂点と重み付けされていない頂点の境目がはっきり分かるはずです(右足と比べてみてください)。最も曲がりが大きいフレーム 10 の辺りで、4 番目の靴ひも(重み付けされていません)が 3 番目の靴ひもの真下にきていることに注目してください。足首のボーンを選択すると、足の前側と後ろ側の重み付けが遷移していないことが分かります。

    この問題を修正するには、2 つのボーンの間の頂点を重み付けして足の中央部で遷移させます。

  12. フレーム 0 に 戻り、上から 2 つの靴ひもの頂点を選択します。

  13. [絶対効果]スピナーを、頂点の重みが増して色が変化するまで、上へゆっくりドラッグします。黄みがかったオレンジ色(値 0.4 辺り)になったらドラッグをやめます。

    再度スクラブして、遷移が改善されたことを確認します。しかし、一番上の靴ひもの位置が低すぎます。

  14. 一番上の靴ひもの頂点を選択し、続いて足首のボーン(EmmaRigLAnkle)を選択して、[絶対効果]スピナーをゆっくり上へドラッグします。

    ドラッグするにつれて、足首のボーンから受ける影響が増して、靴ひもが上へ移動します。値 0.6 か 0.7 の辺りでドラッグをやめます。

    ヒント:衣服の頂点を調整する際は、衣服の素材にも注意する必要があります。たとえば、硬いキャンバス地でできているスニーカーには、軟らかい布地には見られないような「しわ」ができることがあります。また、このチュートリアルのように中解像度のモデルを使用する場合は、頂点の数が十分でないために若干リアルさに欠けますが、ある程度の妥協は必要です。
  15. 適度な結果が得られるまで、曲がった部分の靴ひもの頂点をさらに調整します。

    注:理想的なスキンを作成するには、必ず試行錯誤が伴います。靴ひもの調整はその良い例です。まず、足の前側と後ろ側の大まかな設定を行ってから、靴ひもを 1 つ 1 つ選択して、曲げたときに他の靴ひもとバランスがとれるように調整していく必要があります。
  16. 次は、足の下の方を見てみましょう。曲がった部分の頂点セットと、そのすぐ後ろの頂点セットの間に大きな隔たりがあるのが分かります。再度、問題の頂点を選択して、靴ひもがよりリアルに見えるように[絶対効果]スピナーの値を徐々に上げていきます。

    ヒント:通常、キャラクタのスキンの頂点の重みを調整する際は、できるだけポリゴンのサイズが均一になるようにしてください。そうすることで、キャラクタをアニメートしたときに生じる歪みを最小限に抑えることができます。
  17. アニメーションをフレーム 20、つまり足が最も大きく曲がるところまで進めます。

    足の下部がかなり鋭角に曲がりますが、このキャラクタ メッシュは解像度がそれほど高くないため、完璧に調整することはできません。メッシュのポリゴン数を増やすことができたとしても、ポリゴンが面に入り込んでしまう可能性があります。そちらの方が重要なため、ゲームなどの商用目的に利用する場合であれば、この種の歪みは普通は許容範囲内です。

脚の残りの部分を重み付けする:

  1. ズーム縮小し、足首のボーン(EmmaRigLAnkle)を選択します。アニメーションのフレーム 30 から 50 の辺りを確認します。

    問題はないように見えますが、ふくらはぎへの足首の影響が強すぎます。

  2. 影響を受けているふくらはぎの頂点をすべて選択します。ふくらはぎより上の頂点を選択する分には問題ありませんが、足首の頂点は選択しないように注意してください。

    ワイヤフレーム表示にすると、選択した頂点のアウトラインが白で表示されて見分けやすくなります。

  3. ふくらはぎのボーン(EmmaRigLCalf)を選択し、[絶対効果]を 1.0 に設定します。

    これで、ふくらはぎの頂点が足首のボーンの影響を受けなくなります。

  4. 足首の最上部で頂点をループ状に選択し、ふくらはぎのボーンに対する重みを 1.0 に設定します。
    ヒント:ここで役立つのが、[スキン]モディファイヤのループ選択ツールです。最初に足首の周りのエッジ ループ上の隣接する 2 つの頂点を選択してから、[パラメータ]ロールアウトの上の方にある[ループ]ボタンをクリックします。すると、選択した 2 つの頂点と同じエッジ ループ上にあるすべての頂点が自動的に選択されます。

    足首はこの頂点ループより下で曲がるため、足首のボーンとふくらはぎのボーンの間の頂点を重み付けする必要があります。
  5. 1 つ下のループを選択し、ふくらはぎに対する重みを 0.5 に設定します。

    これで、このループはふくらはぎのボーンと足首のボーンに対して半量ずつ重み付けされたことになります。

  6. 必要に応じてズーム縮小して、両方の脚を表示します。

    右脚の一部の頂点が左ふくらはぎのボーンの影響を受けていますが、これは簡単に修正できます。

  7. 影響を受けている右脚の頂点の周りをドラッグして領域を描画します。ワイヤフレーム表示モードに切り替えてから、モデルをオービットして対象の頂点がすべて選択されていることを確認します。
  8. 選択した頂点の[絶対効果]を 0.0 に設定します。

    同様に、左脚の大腿の頂点に対するふくらはぎの影響も少し大きすぎます。これは、曲げたときに膝のボリュームが失われる原因の一部です。この問題は後で対処します。その前に、大腿をもう少し見てみましょう。

  9. 大腿のボーン(EmmaRigLThigh)を選択します。

    これも、このままでは影響が強すぎます。

  10. フレーム 0 に移動し、右側のメッシュ(向かって左)の頂点をすべて選択して、重みを 0.0 に設定します。

    正確である必要はありません。重要なのは、左側のボーンが右側の頂点の影響を受けないようにすることです。

[ウェイト ツール]を使用する:

ここでは、便利で高機能な[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスを使用して、同じように脚の重み付けを区分化してみましょう。

同じボーンと重みが割り当てられている複数の頂点を選択すると、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスに、その頂点に影響するすべてのボーンと、対応する重み値がリストされます。[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスでは、現在選択されている頂点と割り当てられているボーンの重み値を編集できます。重み値は絶対値で設定することも、現在の値との相対値で調整することもできます。さらに、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスには、重み値のコピーと貼り付けを行うためのコントロールと、頂点の選択を変更するための[リング]や[ループ]といったコントロールもあります。

注:重み値とボーンの割り当てが異なる複数の頂点を選択した場合は、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスには、サブオブジェクト ID が最も低い頂点の設定が表示されます。一度に複数の頂点の設定を表示するには、スプレッドシート形式のウェイト テーブルを使用します。
  1. [パラメータ]ロールアウトの下部にある、 ([ウェイト ツール])をクリックします。

    [ウェイト ツール]ダイアログ ボックスが開きます。このダイアログ ボックスを、操作に支障をきたさない場所にドラッグします。操作はダイアログ ボックスを開いたままで行えます。

  2. [ウェイト ツール]ダイアログ ボックスの下部のリストから目を離さずに、別の頂点を選択します。

    リストには、選択した頂点のボーンの割り当てと、それぞれの割り当てに対する重み値が表示されます。重み値の上限は 1.0 です。たとえば、3 つのボーンの影響を受ける頂点で、1 つのボーンに対する重み値を変更すると、自動的に残りの 2 つのボーンに対する重み値が現在の値に比例して反対に調整されます(つまり、増やせば減り、減らせば増えます)。

    [ウェイトを設定]の値は変化しないことにも注目してください。このフィールドは入力専用です。

  3. 膝の下半分(カプリ パンツの裾まで)の頂点をすべて選択します。
  4. [ウェイト ツール]ダイアログ ボックスのリストでふくらはぎのボーンがハイライト表示されていることを確認してから、[1]ボタンをクリックします。

    選択したすべての頂点の、ふくらはぎのボーンに対する重み値が 1.0 に設定されます。それに伴い、リストの他の 2 つのボーンに対する重みは 0 に変更されます。メッシュ全体から値 0 の重みを削除するには、[拡張パラメータ]ロールアウト [ゼロ ウェイト を削除]をクリックします(ここでは行なう必要はありません)。

  5. 膝の上の大腿の頂点を選択し、続いて大腿のボーンを選択して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[1]ボタンをクリックします。

  6. 分かりやすく整理するために、右脚のふくらはぎのボーンと、このボーンの影響を受ける左脚の頂点をすべて選択して、重みを 0 に設定します。さらに、右脚の大腿のボーンについても同じ操作を行います。
    注:右脚のふくらはぎまたは大腿のボーンを選択してから、影響を受ける左脚の頂点を領域選択すると、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスのリストにボーンが表示されない場合があります。これは、選択した頂点のうち ID が最も低いものが、このボーンの影響を受けないことが原因ですが、問題はありません。そのままダイアログ ボックスの[0]ボタンをクリックすれば、選択したボーンに対する重みが 0 に設定されます。

    一般的な考え方として、このように常にできるだけ整理しながら作業を行った方が、後から戻って最適化するよりも効率的です。これは、モデリングの際に、エッジの流れに注意して、ポリゴンを可能な限り四角形にする(三角形やその他の多角形をできるだけ使用しない)のと似ています。

膝を修正する:

  1. フレーム 40 に移動し、ビューを調整して両脚の膝を表示します。

    上の図を見ると、膝の修正前と修正後がよく分かります。右膝は修正「前」のため、ボリュームの歪みが目立ちます。左膝は大腿とふくらはぎの重みを区分化した結果です。左膝の方がよりリアルに見えるはずです。

    しかし、脚を曲げた状態で左膝の裏側をよく見ると、まだかなりの微調整が必要なことが分かります。多くの調整と試行錯誤を繰り返す必要がありますが、その手順を 1 つ 1 つ詳しく説明することはできません。そこで、まず何から始めればよいかだけ説明しておきましょう。

  2. まず、必要に応じてふくらはぎのボーンを選択し、続いて膝の周りの一番上の頂点をループ状に選択します。ただし、これらの頂点は厳密にはループではありません(結合したり離れたりしています)。そこで、選択は手動で行う必要があります。前述した[ループ]ツールを使用するのではなく、領域選択とクリックで選択してください。

  3. フレーム 40 (膝が最も大きく曲がる箇所)に移動して、頂点が適切な位置に配置されるまで重みを徐々に減らしていきます。
    ヒント:これを実行する良い方法として、[ウェイトを設定]ボタンの右端にある[-]ボタンを何度かクリックします。クリックするたびに、選択されている頂点の重み値が 0.05 ずつ減っていきます。同様に、[+]ボタンをクリックすると、重み値が 0.05 ずつ増えていきます。

    スキン処理が完了した完成版のモデルを見たい場合は、ファイル configuring_skin_finished.max を開いてください。このファイルには、試行錯誤を繰り返してすべての頂点の重み付けを行った完成版のモデルが含まれています。

    最終的に行なった作業を大まかに説明すると、膝の下半分の頂点を主にふくらはぎに重み付けして、膝の中ほどから上にいくに従って、頂点の大腿に対する重みを徐々に増やしていきました。さらに、膝の裏側の「しわ」の頂点を手動で微調整する必要もあります。

  4. 頂点の重みを調整していくうちに、選択した頂点に対して重み付けが 0 のボーンが出てくることがあります。それらの頂点にボーンを影響させる予定がない場合は、[拡張パラメータ]ロールアウトの[ゼロ ウェイト を削除]ボタンを使用して整理することをお勧めします。これはメッシュ全体に作用するため、頂点の重みを整理するのに役立ちます。

骨盤の重み付けを行う:

左脚のスキン処理が完了したら、次はその上の骨盤の作業に移りましょう。

  1. 骨盤のボーン(EmmaRigPelvis)を選択します。

    重み付けを区分化する際、赤い部分が表示されないのは問題の表れです。

  2. 大腿のボーンを選択すると、このボーンの、骨盤の頂点に対する影響が大きすぎることが分かります。
  3. 大腿のボーンが選択されている状態で、骨盤の最下部(カプリ パンツの横のポケットの上端を含む)からベルトの最上部までのすべての頂点を選択します。

  4. 骨盤のボーンを選択して、重み値を 1.0 に設定します。

  5. アニメーションをスクラブしてフレーム 67 付近で止めます。

    骨盤と大腿の重み付けの境目が極端すぎます。ただし、この問題は比較的簡単に修正できます。

  6. フレーム 0 に移動して、脚と骨盤の間のしわの部分の頂点を選択します。選択するのは体の前面の頂点だけです。尻側の頂点は選択しないように注意してください。

  7. フレーム 67 付近に戻り、頂点が上へ移動して深い裂け目の外へ出るまで重みを減らします。これで、骨盤を曲げたときによりリアルに見えるようになります。

脚を仕上げて、重みをミラーリングする:

ここでは、まずキャラクタの尻の頂点の重み付けを修正した後、左側の頂点の重みをミラーリングすることで右側の重み付けをすばやく修正します。

まずは、骨盤の一部の頂点に対する、脊椎の最初のボーンの望ましくない影響を修正します。

  1. EmmaRigSpine1 ボーンを選択し、骨盤部分の前面左側のいくつかの頂点がハイライト表示されることを確認します。

    このボーンは右側の頂点にも影響を及ぼしていますが、後で左側のすべての頂点の重みを右側にミラーリングするため、気にしなくてかまいません。

  2. 左側のハイライト表示されている頂点を選択し(頂点を多めに選択してしまっても問題はありません)、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[0]ボタンをクリックします。
  3. 続いて、尻の下側のしわ部分の 9 個の頂点(次の図を参照)を選択します。

    キャラクタの尻の下側の 9 個の頂点を選択します。

    ヒント:複数の頂点を選択するには、まず頂点を 1 つ選択してから、Ctrl を押しながら残りの頂点を 1 つずつ順にクリックします。あるいは、[パラメータ]ロールアウトの[選択]領域で[背面頂点の非表示]をオンにしてから頂点を領域選択すれば、さらに簡単に選択できます。選択が終了したら、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスに「9 個の頂点を選択」と表示されることを確認してから、必ず[背面頂点の非表示]をオフにしてください。

    この時点では、これらの頂点は骨盤のボーンに対してのみ重み付けされているため、さらに大腿のボーンに対する重み付けを行う必要があります。

  4. 大腿のボーンを選択し、頂点の重みをいったん 0.5 に設定してから、微調整を行います。たとえば、しわ部分の一番下の 3 つの頂点は過度に突き出ているため、他の 6 つの頂点よりも大腿に対する重みを大きくする必要があります。
  5. 次の図のように尻が自然な丸みを帯びるまで、尻の頂点を調整します。

    この場合も、迷ったときは、完成版のシーン(configuring_skin_finished.max)を参考にしてください。

  6. さらに、大腿と骨盤の間のしわ部分の前面の頂点も調整します。その際は、大腿のボーンの影響を受ける胴体のすべての頂点の重みを 0 に設定します。
  7. 骨盤の頂点の重み付けが完了したら、[ミラー パラメータ]ロールアウトに移動して[ミラー モード]をオンにします。

    すると、左側のボーンと頂点の色が青に、右側のボーンと頂点が緑に変わります。ミラーリングできない中心部のボーンと頂点は赤で表示されます。

    ここで、[ミラー パラメータ]ロールアウトの設定について簡単に説明しておきましょう。

    • [ミラー 平面]頂点の重みは、この平面の軸の法線を基準にミラーリングされます。このチュートリアルで使用する既定値の設定は X (つまり、YZ 平面)です。ミラー平面は、ビューポートではオレンジ色のワイヤフレームで表示されます。
    • [ミラー オフセット]ミラー平面の X 軸方向の移動距離。既定値は 0 で、平面とキャラクタの中心が位置合わせされるため、このチュートリアルに適しています。
    • [ミラ- スレッショルド] (旧)対称性の検出時のしきい値。この値が高すぎると、重みが間違った頂点にミラーリングされる可能性が高くなります。逆に、値が低すぎると、[スキン]モディファイヤは対称なボーンと頂点を検出できなくなります。この設定については、次の手順で実際に試してみましょう。
  8. [ミラ- スレッショルド]スピナーを右クリックして 0 に設定すると、すべてのボーンが赤くなります。さらに、脚のボーンと腕のボーンがすべて青と緑に変わるまで、スピナーの値を上げていきます。

    既定値は 0’0.5” ですが、このシーンでは重みをより正確にミラーリングするために 0’0.19” に下げてください。実際の結果は、ここでの結果とはわずかに異なる場合があります。

    ミラーリングを正確に行うためには、[ミラー モード]ボタンの下にある 5 つのボタンを使用します。左から順に、選択した頂点のみをミラーリング、片側のすべてのボーンを反対側にミラーリング、片側のすべての頂点を反対側にミラーリングとなります。このチュートリアルでは、次の図に示す[青から緑の頂点に貼り付け]ボタンを使用します。

  9. [ミラー パラメータ]ロールアウトで、 ([青から緑の頂点に貼り付け])をクリックします。

    キャラクタの左側の各頂点に対して行ったすべての重み付けが、右側の対応する頂点にコピーされます。この方法を使えば、右側のスキン処理をあっという間に修正できます。青で表示されていた左側の頂点が、ミラーリングされたことを意味する黄色に変わります。

  10. [ミラー モード]ボタンをクリックしてミラー モードを終了してから、アニメーションの最初の 100 フレームをスクラブします。

    キャラクタの下半身については、左側も右側もほぼ問題ありません。ただし、フレーム 80 の辺りで脚が後ろに曲がったときに、脚と尻の間のしわが若干深すぎるのが気になります。

  11. しわの部分の頂点を選択して、しわが程良い深さになるまで、大腿のボーンに対する重みを徐々に増やします。
    ヒント:このような場合には、[ブレンド]ツールが役立ちます。[ブレンド]ツールを使用すると、選択した頂点の重みを一様に平均化することができます。先にここまでの作業結果をバックアップとして保存してから、しわの部分の頂点を選択します。続いて、しわが現れるフレームに移動して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[ブレンド]ボタンを何度かクリックします。これでうまく行けば、このファイルで続けて作業を行ないます。改善されない場合は、保存しておいたファイルをロードし直してから、頂点を手動で重み付けしてください。

    満足のいく結果が得られたら、頂点を反対側にミラーリングします。

    さらに、骨盤の中心にある頂点の列にも注目してください。これらの頂点には現在、骨盤に対して 100% の重みが設定されています。実際には、この部分は脚の動きで引っ張られることになるため、それに合わせて重み付けする必要があります。

  12. 骨盤の前面下部の中心にある 3 つの頂点を選択し、続いて右大腿のボーンを選択して、[ウェイト ツール]ダイアログ ボックスで[1]ボタンをクリックします。次に、左大腿のボーンを選択して、[.5]ボタンをクリックします。最後に骨盤を選択して、アニメーションを確認しながら、適切な結果が得られるまで頂点の重みを徐々に増やします。

    このようにすると、左右の大腿に対する重みを均一に設定でき、骨盤のバランスを均衡に保つことができます。

  13. 同様に、キャラクタの左側の頂点の左大腿のボーンに対する重みを、中心の頂点よりも若干大きく設定し、さらにその隣の頂点の重みをもう少しだけ大きく設定します。全体的に満足のいく結果が得られたら、頂点を右側にミラーリングします。

作業を保存する:

  1. (アプリケーション ボタン)をクリックして[名前を付けて保存]を選択し、シーンを MyEmma4.max という名前で保存します。

次のレッスン

キャラクタの上半身の重み付け