重心の移動および脊椎の動きの追加
 
 
 

よりリアルな歩行を実現するには、四肢動物の重心が脚から脚へ移動するのに合わせて、腰と肩を上下に動かす必要があります。そこで、このアニメーションを含むレイヤを作成します。新しいレイヤを使用すると、元のアニメーションと新しく作成したキーを比較できます。新しいアニメーションが期待どおりに仕上がったら、レイヤを集約して古いアニメーションと新しいアニメーションを統合します。

シーンを設定する:

腰と肩の動きのレイヤを作成する:

  1. 四肢動物の任意のパーツを 選択し、 [モーション]パネルに移動して[レイヤ]ロールアウトを開きます。
  2. [レイヤ]ロールアウトの [レイヤを作成]をクリックします。新しいレイヤに Center of Mass & Spine と名前を付けます。

  3. また、[レイヤ]ロールアウトの[再ターゲット]領域で、4 本の脚すべての再ターゲット ボタン( )をオンにします。[IK のみ]もオンにします。

    これらのコントロールは、基本レイヤのアニメーションからの IK コンストレイントを保持します。これらのコントロールがオフの場合、四肢動物の COM (Center-Of-Mass、重心)が移動すると、足をコントロールするために作成したスライド キーは無視され、四肢動物全体が動きます。

  4. [更新]をクリックします。

    足を 1 つだけ選択すると、このレイヤのトラック バーにスライド キーが表示されるのを確認できます。

腰の動きを作成する:

  1. [モーション]パネルで、[トラックの選択]ロールアウトを開きます。 ([ボディ垂直方向])をクリックしてオンにします。これにより、COM も選択されます。

    四肢動物は適切な位置を歩行しているため、後は COM の垂直位置のみを調整する必要があります。

  2. フレーム 1 に移動します。 ([オート キー])をオンにし、次に COM をわずかに下へ 移動します(ご存知のとおり、フレーム 1 はダウンのポーズです)。
    注:レイヤを使用する場合、ビューポートのフィードバックは完全にインタラクティブではありません。COM を移動すると、足が地面より下に下がってしまいます。マウスを放すと、3ds Max が IK を再計算し、足が適切な位置にスナップされます。

    ダウン ポーズで COM を下へ移動した図

    Center of Mass & Spine レイヤでアニメートすると、ビューポートに頭を四角で囲む赤線のフィギュアが表示され、元のアニメーションを示します。

  3. トラック バーで Shift を押したまま新しい COM のキーをドラッグし、このサイクルの残り 2 つのダウン フレームであるフレーム 13 とフレーム 25 にそれをコピーします。
  4. アップ ポーズのフレーム 7 へ移動し、COM を元のアニメーションよりも高い位置まで 移動します。

    アップ ポーズで COM を上へ移動

    重要:COM を上へ移動するときは、四肢が延びすぎないように注意します。四肢が最大限に延ばされると、Biped の動きが非連続的で不自然に見えるため好ましくありません。
  5. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 7 からフレーム 19 にドラッグしてコピーを作成します。
  6. 後脚の最初の接地ポーズであるフレーム 10 へ移動し、ダウン ポーズとアップ ポーズでの COM の水平位置の中間に COM を 移動します。

  7. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 10 からフレーム 22 にドラッグしてコピーを作成します。

    タイム スライダを移動するか、アニメーションを再生すると、腰が上下に動き、より自然な歩行を確認できます。まだ、肩と脊椎がぎこちない動きをしています。

肩の動きを作成する:

  1. フレーム 1 に移動します。 ([オート キー])がオンのままになっていることを確認します。
  2. 一番下の脊椎のリンク Bip01 Spine 選択し、わずかに上へ 回転します(動かしすぎないように注意します)。
  3. 次の脊椎のリンク Bip01 Spine 1 選択し、わずかに下へ 回転します。

    この操作の目的は、脊椎のアウトラインを参照スケッチの犬のボディの形と一致させることです。

  4. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 1 からフレーム 13 と 25 にドラッグしてコピーを作成します。
  5. 前脚の接地ポーズであるフレーム 7 に移動し、下 2 つの脊椎のリンクでも 同じ調整を行います。ここでも、脊椎をスケッチの犬のボディと一致させる必要があります。前脚の接地では、犬の重心が骨盤から肩に移動します。

    ここでは、3 つ目の脊椎のリンク Bip01 Spine 2 をわずかに下に移動して調整することもできます。

    脊椎を調整したら、前足が地面に適切に到達していない場合は、[レイヤ]ロールアウト [再ターゲット]領域で[更新]をクリックします。

  6. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 7 からフレーム 19 にドラッグしてコピーします。

    タイム スライダを移動すると、既に脊椎がより滑らかに動いている様子を確認できます。

  7. 前脚のアップ ポーズであるフレーム 4 に移動します。ここでも、犬のボディと一致するように脊椎のリンクを 回転します。このポーズでは、脊椎が骨盤よりも少し高くなければなりません。

  8. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 4 からフレーム 16 にドラッグしてコピーします。

脊椎の動きが加わることで、四肢動物のロボットのような動きが緩和され、より自然な動物の歩行が実現します。

頭の動きを追加する:

  1. フレーム 1 に移動し、四肢動物の頭を 選択します。
  2. [キー情報]ロールアウトで、 ([キーを設定])をクリックします。

    これにより、頭と頸上部(けいじょうぶ)のリンク Bip01 Neck1 のキーが設定されます。

  3. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 1 からフレーム 25 にドラッグしてコピーを作成し、次にフレーム 11 にもコピーします。
  4. 下頸部(かけいぶ)のリンク Bip01 Neck 選択し、次に ([キーを設定])をクリックしてこのリンクにもキーを設定します。
  5. 頭と同じ手順で、Shift を押したまま首のキーをドラッグし、フレーム 11 と 25 にキーをコピーします。

    これで、移動する頭のポーズを示すリファレンス ポーズを設定できました。頭の動きは、セカンダリ モーションです。「セカンダリ」と呼ばれるのは、歩行がこの動きに依存しておらず、この動きが脚やボディの動きに影響しないためです。ただし、セカンダリ モーションには、アニメーションを本物らしく見せる効果があります。

  6. フレーム 7 に移動します。 ([オート キー])がオンになっていることを確認し、次に首と頭をわずかに上へ 回転します。

    この操作を行う理由は、犬は通常、前脚が接地しているときに進む方向を見ているためです。

  7. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 19 にドラッグしてコピーします。
  8. フレーム 11 に移動します。首のリンクを地面とほぼ平行になるまで回転し、次にわずかに下向きになるように頭を 回転します。

    お気付きのとおり、フレーム 11 はダウン ポーズであるフレーム 10 の 1 フレームにあります。セカンダリ モーションは通常、プライマリ モーションより少し遅れて発生します。また、キーもこのように少しずらして設定することで、アニメーションの動きが非常に機械的になるのを回避できます。

  9. Shift を押したまま、新しいキーをフレーム 22 にドラッグしてコピーします。

作業を保存する:

次のレッスン

歩行サイクルの仕上げ